アトミクラブ
治療の目的と効果
アイシングの効果的な利用方法と目的
今野二郎さん

はじめに

 気候もだいぶ涼しく走りやすい季節となって来て、大会もマラソン初め、各ロードレース、トラックレース(記録会)、 駅伝大会と増え、秋・冬のシーズンに向けて走りこんでいる方々が多くなってきていると思います。
 そんな中、故障をしている方、体調が上がらず悩んでいる方、レースに向けて調整をしたい方などいると思いますが、 そんな人達に「なぜ治療が必要なのか」ということと治療のメカニズムを少し説明したいと思います。
 又基本ではありますが(みなさんはすでに行っていると思いますが)故障をした時の「アイシングの必要性と行い方」ということ でわかりやすい様に書いて見ました。
 色々な目的・目標をもって走っている方々がいると思いますが基本的には好きだからだと思います。 その好きなことができないのはつらいと思います。 自分の体をしっかりケアをして自分の目標につなげて行ける様にして行って下さい。

治療の目的と治療効果

・生物学的に疲労がたまり治療を行い、身体がリフレッシュ(免疫が向上)してから落ちるまで3〜5日と言われています。 その前に治療を行うのが望ましく、1週間〜10日に2回程が理想と言えます。

※トレーニング内容や疲労具合によっては加減して下さい。
  又、故障中などは毎日行わなければいけないこともあります。

・逆に過剰な治療(むやみに強いだけ)はパフォーマンスを低下させます。

===アイシングの効果的な利用方法と目的===

ケガの手当「RIC」「F」の処置です。

「R」(Rest)…安静にすること

「I」(Ice)…氷で冷やすこと

凍傷を起こさない様にタオルなどの上からビニール袋などに氷を入れて冷やします。冷やすことにより内出血、炎症、痛を少なくします。

※湿布薬は血流を良くする効果が有り、内出血の量を多くしてしまう恐れがあるのでコールドシートの様な冷却専用の湿布を貼って下さい。

「E」(elevation)…高くあげておくこと

患部をなるべく心臓より高く上げておくことにより内出血と痛みを軽くします。

「F」(Fixation)…固定

「R」の中に入り患部を動かすと捻挫で傷ついた靱帯の傷口を大きくしたり、骨折では折れた骨がずれて周り の神経や血管、筋などを傷つけてよりひどいケガになってしまいます。固定は二次的損傷を防ぎ内出血、炎症 や痛みを少なくすることが目的ですぐにDrなどの専門医へ。

■どのような時にアイシングをするか

@関節、筋肉の使い過ぎ(オーバーユース

何回も同じ動作を繰り返すことにより関節や周りの筋肉に大きなダメージを受け、炎症を起こします。 それを放置しておくと大きな障害を招く恐れがあります。アイシングを行うことにより炎症を取り除き新陳代謝を良くすることで早期に回復させます。

A外傷のリハビリ、復帰後の再発予防に

ケガのリハビリの段階で治療目的にリハビリ中の患部の炎症を抑えたり取り除く為に行います。 又、競技復帰後再発を予防する為に行う。

B疲労の除去に

疲労した筋肉、関節にアイシングすることで「リバウンド現象」を起こさせ新陳代謝を良くし、障害を防止します。


C競技を始める前に

競技を始める前に患部にアイシングを行うことにより「リバウンド現象」を起こし、血行を良くし競技に入りやすくする。 (約30分程経過してから「リバウンド現象」があらわれます)

D外傷の応急処置に

打撲、脱臼、骨折などの外傷に対し、応急処置として行う。

「注意すること」

凍傷に注意して下さい。
アイスパック・アイスノンなどは氷点下の温度となる為(表面の水滴が凍る為)に肌にくっつき凍傷を起こすことに つながりますのでタオルにくるんで使用すると良いです。 又氷などで行うのが溶けながら患部の熱をとって行くので一番最適です。 しかし冷蔵庫の中からすぐに出した物は肌にくっつきそれが凍傷の原因となるので溶かしてから使用して下さい。

「冷やす時間として」

時間としては約10分〜20分がいいでしょう。この10分〜20分を5分〜10分の間を取り2回〜3回することを 進めます。 又痛みの度合いによりこのことをトレーニング後、空き時間、風呂上がりなどに行い、1日2〜3回できればいいと思います。(最低1回は行って下さい) はじめに痛くなりつらいと思いますが5分過ぎると感覚が無くなりますのではじめの所を我慢する様にして下さい。
※痛みが取れ、張り、軽い違和感になり出したら逆に温め血行を良くして行けば回復は早くなります。

「アイシングを行うことにより」

アイシングを行うことにより「患部の熱の痛み取る」ということと一時的に血液の流れを少なくさせ、感覚を無くさせた上でアイスパック、 氷を取ることにより通常以上に患部に血液を送り込ませ「酸素を多量に含む血液を送り、 患部の壊れた組織、乳酸、活性酸素を取り除き早期治癒」を促す作用がありますので把握しておくとアイシングを行う必要性がわかると思います。

「アイシングに必要な物」

・氷
・氷のう
・ビニール袋
・アイスパック・アイスノン類(直接使用できる以外は決して直接使用しない)
・アイスカップ(水を入れて凍らせたもの)
・クーラーボックス
・バケツ(患部に応じて大きさを変える)
・バンテージ・バンド類

韋駄天治療室 今野二郎 (2004年11月)


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