アトミクラブ
シドニーオリンピック
シドニー在住 奥田庸子さん

 シドニーオリンピックのトライアスロンとマラソンに、 ボランティアとして参加することが決まったのは1年以上前のことである。 子供の頃からの夢だったオリンピック。 選手としては参加することができなかったけれど、 こうした形で携わる事ができたことをうれしく思う。

 私が「トライアスロンJAPAN」のオーストラリア通信員として活動して1年以上になる。 今回のオリンピックでは編集部の鈴木さんと村山さんが私たちのフラットに泊まり行動を共にした。 JTU(Japan Triathlon Union) のシドニー・オフィスに行き日本選手たちと直接会って話を聞いたり、 外国人選手のインタビュー&通訳など、 またはオリンピック・トーチを見に行ったりもした。 一つの雑誌を作る大変さ(工程)を見ることができた。

 今回始めてトライアスロンがオリンピック種目として開催され、 オーストラリアでメダルの期待が高かった種目だけに大きな注目を集めた。 私のボランティアとしての仕事はロード・クルーとして選手のために道路の安全を確保すること。 バリケードを築きレッドコーンを置き、道路の穴を埋め、ガラスを拾い、観客に気を配る。 男子のレースの時には私の目の前でBIKEアクシデントがあった。 第一集団は周回を重ねるごとに大きくなっていく。 20人位に膨らんだ集団の中でのこと、 小さな登坂で前の選手のスピードが落ち、タイヤが接触し4人の選手が次々に転倒した。

 巻き添えをくった選手から「You are idiot!(ばかやろう)」との罵声が。 怪我人はなくすぐに彼らはBIKEに飛び乗りレースを続けた。 その時私は目を丸くして見守っていただけだったが・・・

 今回のオリンピックで最も心に残るレースはキャシー・フリーマンの400m決勝だろう。 超満員のスタジアムに緊張の面持ちのキャシー、 彼女の癖・唇をペロリと舐める姿がスクリーンに映し出される。 スタートと同時に観客が総立ちになる。ラスト100mになってキャシーの加速が増してきた。 声を張り上げ旗を振り、誰もが興奮の渦の中で彼女はオーストラリア中の期待どおりゴールド・メダリストとなった。 オリンピックの開会式&閉会式ともに原住民アボリジニの特色が多く現れていた。 アボリジニであるキャシー・フリーマンは歴史の1ページに残る快挙を成し遂げたと私は思う。

 日本選手の活躍としては女子マラソンの高橋尚子さんだろう。 ハーバーブリッジとアンザックブリッジでボランティアをしていた私の目の前を彼女たちが走っていった。 レース後ビデオで見てみたところ、コース沿いにはオーストラリアより日本の旗のほうが多かった。 改めて日本でのマラソンの注目度を垣間見た。

 オリンピックの期間中の天気はとても清々しい晴れの日が続いた。私はアスレチック2回、 サイクリング・ベルドローム1回、ロードサイクリング2回、 サイクリング・タイムトライアル1回そしてトライアスロンとマラソンを観戦した。 家に帰ればテレビに釘付け、寝不足の日々が続いた。

 シドニーオリンピックは大成功に終わった。 またとない貴重な経験をすることができた。 スポーツ選手は私たちに夢や希望を与えてくれる。 そんな素晴らしい役目をいつか私自身がやってみたい。


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