アトミクラブ
わたしの初マラソン体験記 AT BEIJING(北京)
矢澤智子さん

 数ヶ月前、記念すべき初マラソンはどこにしようと考えていた。 北京を勧められるまでは頭の片隅にさえなかった海外での初マラソン。 思い描いていたのとは全く違う初フルマラソンになった。

 最近ニュースを賑わせている大気汚染や様々な話題で抵抗感があり、 ギリギリまで行くことを悩んだりもしたが、素晴らしい体験ができたと思う。 中国は本当にスケールが大きかった。 食べ物もおいしかったし、人々も優しかった。ルールはハチャメチャだったけれど。。。
それも旅のよい思い出だ。

 スタート直後は後ろから突き飛ばされ、まるで満員電車に乗っているかのように押されて動揺した。 当初、発表されていたのは100万人収容できる天安門広場からスタートし、 北京市の北に位置するオリンピックスタジアムがゴールだったけど、人民大会議が、 隣接する人民大会堂で開催されているため、スタートゴールがオリンピックスタジアムになった。 そこに2万人のランナーが殺到するわけだから大混雑だ。

 走り始めて5kmくらいでようやくばらけてくると走りやすくなってきた。 気温は13℃くらいだろうか日本で言えば晩秋の日本晴れといったところで、走っているときは心地よかった。 調子は悪くなかったようだった。 だけど、ここのところの足の痛みは割と早くから出始めた。 口にしたらもっと痛くなりそうで、我慢して走り続けた。

 それにしても中国は面白い。 何でもあり!と言ったところだ。キロ4分50秒くらいで走っている私を、軽々と縄跳びをしながら追い越していく人がいた。 と思うと、後ろ向きで私と同じくらいの速さで走り続ける人がいた。 その人とは目と目が合って、思わず噴き出しそうになった。 こちらは必死で走っているのだから、笑わさないでくれと思うが、 ペースが同じくらいなのでどうしても目と目が合ってしまうのにはまいった。

 何人かの日本人ランナーにも「初マラソンです」と告げると、ペースを作ってくれたり、 応援してもらったりと、過ぎてみればあっという間の42.195キロだった。

 35キロ〜40キロはやっぱり辛く、何度も足が止まりそうになったけれど、ラン仲間の顔を思い浮かべながら走った。 沿道の声援も励みになった。

 そして、スタジアムに入ってスパートをかけ、ゴボウ抜きしている瞬間はまるで、 周りの景色が止まったかのような、そして自分が、映画の主役になっているような不思議な感覚に陥った。

 このような晴れの舞台で走り切ることができ、さらに目標としていた3時間半を切ることもできて、満足感でいっぱいだ。 ここ数ヶ月の努力の成果もあるけれど、これもいつも暖かく見守ってくださる先輩達の指導や、 苦しい時も励ましあいながら一緒に練習する仲間達がいるからこそだと思う。 自分のことのように嬉しいと喜んでくれた仲間、そんなに喜んでくれて、私もとっても嬉しかった。

 走り始めてもうすぐ1年になる。 苦しい練習も終わった後の爽快感を思えば、楽しくて仕方ない。 これからも記録向上を目指しながら、楽しく練習していきたいと思う。


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