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『スパルタスロン2007(9/27〜28)完走記』 伊藤真さん |
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アテネからスパルタまでの246kmを36時間以内で走るスパルタスロンに初めて参加。
いつかは挑戦したいレースであるスパルタスロンに「今行かないと後悔する」という思いでエントリーを決意。
出発前までは、前回初参加で完走した小黒さんに、前回レースのDVDを見せてもらったり、準備すべきもの等のアドバイスをいただきました。
そして往復の航空チケットを手配いただいた、前回女子2位のF山さん等、いろいろな方にお世話になり出発の日を迎えた。
9/25(火)連休明けの仕事を終えて羽田へ向かい、小黒さん・F山さんらと合流。羽田〜関西空港〜ドバイ〜アテネのルート。
関空でウルトラの母・富山のT中さんらと合流。
乗り継ぎのドバイ空港の大きさに驚きながら、ドバイでも機内でも飲みながらのアテネ入りとなりました。
レース参加者がホテルに集結して、前日のレース説明会があり、いよいよ気分が盛り上がってきた。
■スタート前
前日の夜、当日の朝ともにホテルの食事でなく、日本から持ち込んだご飯を食べる。
山岳用の店で調達した、お湯を入れるとできるご飯。
初めての経験でしたが、しっかりご飯・味噌汁を食べることができました。
まだ暗いうちにホテルを出発し、スタート地点のパルテノン神殿到着。
ウエアはランパン・半Tシャツ・帽子。かなり暑くなることが予想されるが、
強烈な直射日光を長時間浴びることでの体力消耗を少なくする為に、
露出部分の多いランシャツではなく半袖シャツを選択した。
ウエストポーチの中身はブドウ糖・塩・乾燥梅・鎮痛剤・胃薬(熊の胆)・テープ・ミニ給水ボトル・夜用ランプ等、そしてデジカメ。
日の出日の入りの時間が日本より2,3時間遅い。
スタート前の写真撮影で賑やかな中、まだ夜明け前の7時、パルテノン神殿を元気にスタートした。
■ スタート〜コリントス (81km):16時01分
これが最初で最後のスパルタスロン参加のつもりなので、目標は記録ではなく「完走」。
そのためにはサンガス山越えするまでは極力抑えて走る、とは言ってもチェックポイントの制限時間があるので6分/kmを想定。
アテネの地を走っている喜びをかみしめながらゆっくりと走り出す。
小黒さん・Tさん・静岡のWさんらとアテネを楽しみながら走る。
市街地を抜け、どんどん暑さが増していく。
この日の気温は35度ぐらいまで上がったらしい。
8月に大きな山火事があった痕跡が道路の両側に広がっている。
左にはエーゲ海の絶景を望み、記念撮影しながら走る。
海岸沿いは細かいアップダウンが続く。コリントス運河を通過しコリントス到着。
ここで預けてあったお粥を食べ、足のマッサージをしてもらう。
Wさんは胃腸をやられ、すでに食べ物を受け付けない様子。
■コリントス(81km)〜ネメア (124km):22時27分
前日の夜から予防のために「熊の胆」をのみ、レース中も約6時間おきに服用した。
そのお陰か胃腸は特に問題なし。
酷暑の中のレースなので塩分補給を心掛ける。
暗くなり始めた頃ワインの産地でもあるネメアに到着。
ここでもお粥を食べ、ランパンの上にロングタイツ、半シャツの下にロングTを着用して夜の冷え込みに備える。
昨年の小黒さんの通過時間より約1時間遅いとのこと。
やはり暑さの影響か?。
しかしここまで楽しみながら走ってきたことで、完走への不安はまだ感じなかった。
ヘッドランプの灯りを頼りに歩を進める。
■ネメア(124km)〜リルケア (148.5km):2時48分
小黒さんはレース前に左足小指を負傷しての参加。
鎮痛剤の作用か小黒さんに睡魔がやってきた。
蛇行走りになってきたので注意して進む。
下痢気味の為遅れていたTさんもしっかり追いついてきた。
真っ暗で一人で走るには寂しいというか危険なところが多い。
サンガス山頂前の大きなチェックポイントであるリルケアに到着。
■リルケア(148.5km)〜ネスタニ (172km):7時30分
いよいよサンガス山頂を目指して登ってゆく。
はるか前方には高速道の灯りが並びその先に目指すサンガス山頂がある。
急な登りはひたすら歩く。
ここで私に睡魔が襲ってきて眠りながらの蛇行走りを繰り返す。
山頂2つ前のエイドで我慢できなくなり、「5分だけ眠らせて!」と椅
子に腰を下ろす。意識が薄れ「リタイアでもしょうがないや・・」と弱気になる。
しかし、横には収容バスがスタンバイしている。
「制限時間になるから寝るな!」の叱咤激励に、なんとか起き上がり、走って仲間に追いつく。
本レース一番の危機を脱出。
富士山9合目と同じ狭い道を歩いて念願の山頂(161.6km地点)に到着、
山頂は強い風が吹いていて寒い。
毛布に包まって暖かいスープを貰う。
そして山の反対側の急な瓦礫の道を歩いて下っていく。
夜が明け始めた頃にネスタニ到着、既に24時間経過している。
■ネスタニ(172km)〜テゲア (195km):10時35分
最も寒さが厳しい区間と聞いていたが、あまり寒さは気にならない。
山越えを終わり朝を迎えたこのあたりから「完走できるかどうか」を意識し始める。
これ以上遅れると完走に赤信号。
小黒さんは足小指の痛みでピンチ。Wさんも食べられず体力消耗でピンチ。
「伊藤さん、先に行って!絶対完走するんだよ!」の声に促され、5人の集団から私が先行して走り出す。
後ろを振り返りながら「みんな絶対ゴールまで来いよ!」との思いを残し、ややスピードを上げる。
残り約70km、いよいよ一人旅になる。道を間違えないように注意しないと・・・。
着替えポイントに決めていたアルカディア広場(186km地点)に到着。
なんとそこに小黒さんがいる。175km地点でリタイヤしたとのこと、残念。。。
ここでロングタイツ・ロングTを脱いで、スタート時のウエアに戻す。
この地点で35分の余裕ができた。何とか完走できるかな?の思い。
■テゲア(195km)〜処刑場記念碑 (222.5km):14時30分
ウエアが身軽になったついでに身体も身軽になりたがっている。
ブドウ畑の陰に入り日本産の肥料を与える。
本レースのコースにトイレはほとんど無し。
男性はそれなりに済ませられるが女性ランナーはその点苦労が多い。
この日の気温は38度ぐらいまで上がったらしい。
それも日陰がほとんどない炎天下での走りとなり、水分と塩分の摂取に努める。
スパルタへ向かう国道の20km以上の登りが延々と続く、それもかなりの急勾配。
先行していたランナーがほとんど歩いている。
私も最初は歩いたが、このまま歩いては完走が危ない!?との思いで、走ることを決意。
先行していたF山さんやY子さん、日本人ランナーをはじめ歩きのランナーをどんどん抜いていく。
対抗車線を通過する車からの声援のクラクションに手を挙げて応えることにより、
なんとか自分を鼓舞しながら登りの終焉ポイントに到達。
1時間の余裕ができ、これからは下りになるので完走を確信した。
■処刑場記念碑(222.5km)〜ゴール (245.3km):17時26分(34時間26分)
20kmぐらい延々と下りが続く。
ここに来てタイムを気にする必要もなくなり、記録には固執しないが、
早くレースを終わって休みたいとの思いでスパルタを目指す。
国道を終えてスパルタの町に入る。
自転車で並走する少年たちが増えて、いよいよゴールは近い。
道路を右折するとゴール前の直線が続いている。
沿道にいたK川さん(残念ながらリタイヤ)が走りよってきて握手。
「かっこいいよ!」の言葉に笑顔で答える。
ゴール前に来て小黒さんが写真を撮りながら駆け寄ってくる。
満足の笑顔でレオニダス像の足元にタッチしてゴール!
月桂樹の冠を被り、聖水を飲む。
レオニダス像前での記念撮影。TG大のW先生も駆けつけてくれてしっかり握手。
W先生にはエイドに置く荷物の件でお世話になった。
完走の満足感に浸りながら、本当に皆さんに感謝!感謝!。。。。
■レース後
係員に導かれてシューズを脱がされ足の消毒。
それが終わるとタクシーでホテルまで運んでもらう。
特に足や身体にダメージはない。
夜は眠いはずなのにしっかりと食べて呑んでいる自分がいる。
ここにいる仲間はもちろんこと、日本にいる大勢のランナー仲間のお陰で今日の自分があることを思い、
心の中で「乾杯!」と叫びながら杯を重ねていく。。。
以上
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