アトミクラブ
RUNNER's四字熟語 その9
一念発起(いちねんほっき)

 ちょっと、ややこしいですか?
「以心伝心」同様にもとは仏教用語。 「発」の呉音(仏教用語に多い)は「ホチ」、促音化した「ホツ」が慣用される。 漢音(正音)は「ハツ」。「念」は日本では「心」や「用心」の意で用いられるが、漢字としては元来「思う」「考える」、「読む」「唱える」意。 仏教語では「極く短時間」の意。因みに、現代中国語では「念書nian(4) shu(1)」が「読書」。

「一念」は、極めて短い時間のこと。指をはじく(弾指)時間に相当する。 更に短い時間を「刹那(せつな)」と言い、60刹那(または90刹那)を一念と数えるが、いずれにしても一瞬のこと。 「南無阿弥陀仏」と念仏を一度称える間や、仏を信じ仏の姿を思い描く瞬間の意も。 一般には、ある事をひたすらに思い込むこと、またその心。
「発起」は、菩提心を起こすこと、発心(ほっしん)して仏門に入ること。 一般には、思い立って事を始めること。 新に企てを起こし立ち向かうこと。「一念発起」で、仏に帰命(きみょう)する決意をして一心に悟りに向かうこと。 一般には、思い立った事を成し遂げようと決心すること。

 さて、ランナーのあなた、
しようと決心した動機は何でしたか。ランナーの数だけ理由があるのでしょうが、老いも若きも男も女も、それぞれの思いで皆、ランナーであり続けたいと願い、努力しているはずです。 苦しみを求めて走るランナーはいません。走る楽しみを求め、各々の目標を持って、仲間を尊重し合いつつ走るのがランナーです。  一念発起には、レースでの第1位を狙って走ること、記録を狙って走ることも有りですが、身体をこわさずに何歳まで走り続けられるかを目指すことだって有りです。 仕事以外に走る仲間を増やそうとすることも有り、ジョガーからランナーへの転身を図りたいというのも有りです。 フルマラソン完走を100回、1000回と追うのも有り、健康維持を目的にマイペースを重ねることも有りでしょう。 一念発起してアトミクラブの練習や合宿に参加したランナーも多いと思われます。 市民ランナーは走ることが仕事ではありません。月間300q、400qを走るには相当な覚悟と意志がいります。
 速く走るための練習をしようと「思うだけ」なら一瞬ですが、続けて努力して走力に結びつけるためには、虚仮(こけ:愚か者)になることも必要なようです。 それより先に、まず「発起」しなければ、天に通ずることも、岩をも徹す(とおす)こともありませんね。 一筋に心に深く思う、最初の「一念」が大切なようです。ただ、一念の向け方次第では、その執念によって仏にも餓鬼にもなる(一念化生・いちねんけしょう)そうです。 闇雲に無理して頑張っても、怪我や故障をしてしまっては元も子もありません。 勝負ばかりを価値観として共に走る仲間を敬う気持ちを忘れては、走友の楽しみを否定することになりかねません。 何事も過ぎたるは猶及ばざるが如し、仁王に踏みつけられる餓鬼になっては、つまらないですね。 アトミの、単一の価値観を押し付けない空気を大切にしましょう。


これまでの考えを改めて、直ちに仏に帰依し仏信仰の道に入ること。
⇒ある事を深く心に思い込むこと、またその心。
⇒思い立った事をひたすら成し遂げようとすること。
⇒心を入れ替えてある事を成し遂げようと決意すること。

Kang(1)記

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