アトミクラブ
RUNNER's四字熟語 その6
温故知新(おんこちしん)

 ちょっと、ややこしいですか?
「温」は音オンで、あたためる、大切にする、たずねる等の意。
「故」は訓「ふるし」で、過去のこと。
大昔や古典とは限らない。訓読に「故きを温ね(たづね)て新しきを知る」と「故きを温め(あたため)て新しきを知る」がある。
「たづぬ」は復習する、習うの意。「あたたむ」は習ったことを復習する意。 『論語』「為政第二」に「子曰温故而知新可以為師矣」とある。
「子曰く、故きを温ねて(温めて)新しきを知れば、以て師と為すべし。」と訓読。 助字「而」は直接読まず、前の語に「テ」を添えて読むことが多いが、「而」の前と後を因果関係で繋ぐ働きを持つ。 「可以(もって〜べし)」は、〜することが出来るの意。 「師」は「師表」の意で手本、模範、指導者。昔のことを調べるだけでは発展性に欠け、新しさを追求するだけでも危うい。
成長・発展は過去・現在・未来の時の流れの中にある。

 さて、ランナーのあなた、
2007.2.18第1回東京マラソンには参加しましたか。
日本で初の大規模都市型マラソン、氷雨にも拘わらず完走率96.7%という驚異的な数字を残しました。 スタート直後、実況中継のアナウンサーが「東京の歴史と文化を巡る温故知新の42.195q」と言っていました。 東京の新旧の観光名所を縫って走るマラソンということで「温故知新」を用いたのでしょうが、 四字熟語の使い方としては浅いものです。
東京マラソン企画室では、ボストン、ベルリン、ロンドン、ホノルル、ニューヨークなど、 先行の大規模市民マラソンを参考にして東京マラソンを練り上げたと聞きます。 正にこれが「温故」です。どこまで故きを温ねられたかは別にして、過去に学ぶことは必須です。 問題は、その上で現実に即したテーマや企画や理解をいかに考えて行くかにあります。 そうでなければ「知新」には結び付きません。
30000人規模のマラソンでスタート付近に仮設トイレ600基では不足するのが当然です。 コース途中のトイレも5分以上も並ぶ列が出来るようでは選手とマナーへの配慮を欠いた運営です。 水は、ペットボトルが用意されて今回は足りたようですが、暑ければ飲むだけでなく頭や脚を冷やすためにも使われます。 命の水は多すぎるくらい用意されていて丁度です。 季節外れの高温で水が無くなり完走率50%を切った2003.11.16東京国際女子マラソンでの教訓は生かされたのでしょうか。
来年は、第1回を振り返り考えて、そこから第2回以降の発展に繋ぐ工夫と努力が不可欠となります。 世界のシティマラソンの師表として仰がれるまでに「東京マラソン」が支持され理解されることを望みましょう。 「温故知新」が達成される日を待っています。


過去の知識を尋ね考えて、そこから新しい知識を導き出し、将来への道筋を示す人 であれば、その人を師として仰ぐことができる。
⇒過去の事柄や学説・古典などをよく学び取り、よく考え究めながら、そこから現実に相応しい新しい知識や見解を持つこと。既に学んだことをしっかり復習して新しい道筋を見つけること。
Kang(1)記

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