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RUNNER's四字熟語 その38 艱難辛苦(かんなんしんく) |
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ちょっと、ややこしいですか?
「艱」は苦しむ、悩む、難い、難しい。
また、苦しみ、悩み。
「難」も、かたい、むずかしい、くるしみ、なやみ。
「艱難」で苦しみ、悩み。辛い目に遭うこと、苦労すること。
苦しい思いをすること。困難な目に遭うこと。
「辛苦」は辛い目にあって悩み苦しむこと、思い悩むこと。
「艱難辛苦」で障碍に悩むこと、困難に苦しむこと、逆境に苦しみ悩むこと。
辛い目に遭って苦労すること。
困難に出遭って苦しみ抜くこと。
言い尽くすことのできない辛さ・苦しみ・障碍・困難の意。艱辛(かんしん)でも同義。
戦国時代末期、尼子氏の忠臣山中鹿之助が「願はくば我に艱難辛苦を与えたまへ」と三日月に向かって祈ったという話が有名ですね。
「逆境を乗り越えることが人間を成長させる」という考えは、時代を超え、洋の東西を問わずに有るようです。
さて、ランナーのあなた、
「苦労が人を磨く」、「辛い道こそが成功の近道」という考えは、チャレンジ精神に共通することです。
「練習で泣いて試合で笑え」は全てのスポーツに通ずる合い言葉です。
ランナーである私たちもそうですね。トレーニングを毎日重ねることで漸く走る身体ができてきます。
素質のある人でも、日々の練習がなければ42.195kmを走り抜くことはできません。
人の身体はよほど怠け者なのか、練習を怠れば筋力が落ちます、すぐに贅肉が付いてきます。
心も正直です。練習が足りないと走る自信がどんどん目減りしていきます。
すぐに弱気が顔を覗かせます。
すぐに弱音を吐くことになります。
途中で投げ出すことに鈍感になります。
「目は心が用意したものだけを見る」と言った人がいますが、身体も訓練して備わった力しか発揮できないのでしょう。
練習不足にもかかわらず、気合いと意地だけで勝負しようなどと張り切ると、落ちはDNFか故障か怪我ということになります。
兎角に難しいものです。
アトミの仲間高橋勇市さんが、ロンドンパラリンピックのマラソン競技で日本代表に内定しています。
正式発表は7月3日とのことです。
勇市さんは、アテネでは全盲の部で金メダルでした。
北京は全盲の部と弱視の部が統合され16位(全盲の2位)でした。
ロンドンはどうでしょう。
ロンドンに決まれば3大会連続の日本代表です。
オリンピックのマラソン競技で3大会連続出場を果たした宇佐美彰朗先生に回数で並ぶ快挙です。
生きることさえ辛い状況でも、前向きに努力を重ねる中でしか培われることのない姿がそこにあります。
見えていた目が見えなくなる、正に逆境を乗り越えた姿がそこにあります。
勇市さんの心の強靱さはどこから生まれてきたのでしょう。
常人には推測も憚られるような艱難辛苦があったはずです。
ロンドンの42.195kmも心の眼で駆け抜けてください。
9月9日が楽しみです。
向上を求めて努力する中で訪れる好機があります。障害をものともせずに進む強さも日々の努力から生まれます。
Make every obstacle an opportunity.
大切なことは、向上を求めて努力すること。それも毎日弛まずにでないと力は身に付きません。向
上も維持も、求めなければ得られません。求める者にのみ与えられる恵みを信じましょう。
目的達成までの苦しみ。困難に出遭っての苦労。
困難克服の労苦。辛く苦しい逆境。
西洋の諺に、Adversity makes a man wise. が有ります。
逆境を乗り越えることで、人は賢くもなるのですね。
日本では明治時代にこの諺を、「艱難(かんなん)汝(なんじ)を玉(たま)にす」と訳しました。
精神論で片付ける人に喜びは訪れません。
Kang(1)記
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