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RUNNER's四字熟語 その32 後顧之憂(こうこのうれえ・こうこのうれい) |
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ちょっと、ややこしいですか?
「後顧」は、後になってから振り返ること、かえりみること。
後で気がかりになること、残る者への気がかり。
後に心が引かれること、回顧すること。「後慮」とも。
「後」は、目的語ではなく修飾語のため「後を顧みる」とは読まない。
「後悔」も「後に悔いること」「後の悔やみ」の意で、やはり「後を悔いる」とは読まない。
「憂」は、心配や悩みを気にかけ嘆き苦しむこと。
「後顧之憂」で、後に残る心配、のちの気遣い、後々の心配、背後の気がかり、残された者への気遣い。
「後顧」は古くからの熟語で、『顏氏家訓』「止足」に、
「前望五十人(前に五十人を望み)後顧五十人(後に五十人を顧みる)。」とあり、『魏書』には、
「使我出境無後顧之憂(我をして境を出づるに後顧の憂へ無からしむ)。」とある。
唐代の詩には、「後顧前瞻(こうこぜんせん・のちのかえりみ さきののぞみみ)」とある。
中国では今は一般に「后顧」を用い、「憂」も、「?(りっしんべん)」を付けた簡体字を用いる。
発音は同じ。
「戦陣訓」(昭和16年)では「後顧の憂いを絶ちて只管(ひたすら)奉公の道に励み、」と用いられたりもした。
さて、ランナーのあなた、
後になって、あの時ああすれば良かった、こうしておけば良かったと悔やむことはありませんか。
誰しも後顧の憂いの無い人はいません。
生きている限り、何らかの心残りは付き物です。
であれば、明日を生きるために後顧の憂いの種は今日のうちに始末・解消する姿勢が大切になります。
ところで、ランニングを続けるための環境整備は十分に図っていますか。
練習環境は、ランニングウェアーやランシュー、グランド、練習仲間だけではありません。
合宿に出かけたり、試合に出かけたり、練習会で休日の度に家を留守にする、そのための環境は整っていますか。
費用の捻出にしても、家事の手配にしても、家族サービスにしても、思いを後に残し、後ろ髪を引かれるようでは、
いずれは基盤を失って満足な練習もできなくなります。
ランニングの継続すら危ぶまれることになります。
後顧の憂い無き環境を整えた上で、ランナーとして活き活き走り続けたいものです。
アトミクラブには、オリンピックやパラリンピックに出たランナーもいます。
全日本レベルで活躍したランナーもいます。
「フルマラソン1歳刻みランキング」で100傑に名を連ねるランナーが大勢います。
アマチュアのクラブにしては、競技志向の強い練習もできるクラブです。
3'10"/kmペースのAグループ、3'20"/kmペースのBグループが速いのはもちろんですが
、国際資格レベルの女性ランナーが加わるC1・C2・C3グループの質も、3'30"/km〜4'00"/kmペースで走るのですから、
侮ることはできません。
アトミの中では遅いDグループも4'30"/kmそこそこで走るのですから、
最近ブームの皇居ジョガーに比べれば、一般市民ランナーの域を越えています。
しかし、心配なことがあります。スピード第一、勝負第一となると、ついつい無理をしてしまうことです。
身体のあちこちに無理を重ねた結果、故障や怪我に結びつくこともあります。
無理は禁物なのに、レースや駅伝ともなれば、自らの健康や体調を押して走ってしまいます。勝負魂が仇(あだ)となることがあります。走る環境整備には、健康管理が最重要課題です。自らの健康状態を冷静に分析して、体調次第では走りを休む勇気も大切になります。走れる身体が整わないのに無理して走るのは蛮勇です。競技者として、後顧の憂いを無くす心得もスポーツマンシップの内です。
過去の憂いを残さないように、故障や病気は先ず克服することです。
走りを休んだとしても、今を懸命に生きることが明日の安心を生みます。
今歩いている道は明日には過去の道となります。明日に憂いを持ち越さないように、後顧の恐れは今日のうちに始末・解消しておかなければ成りません。
無理を重ねることは自らの走力を磨くことではありません。
人生を振り返った時、後に憂愁が残るようでは困ります。
周囲への配慮は自分への思いやりになります。
難しいことですが、走らない決断をする勇気が必要な日を見逃さないでください。
速いこと、勝つことばかりが誇りではありません。
健康に長く走り続けることに価値を見出すことも大切です。
いつまでも年若いままではありません。
「少年易老学難成(少年老い易く 学成り難し)」ならぬ「少年老いやすく ‘走’成りがたし」です。
後に思いが残ること、後に残る心配、後への気がかり、心残り、のちの気遣い、後々の心配、後の振り返り、背後の気がかり、残す者への配慮
⇒怪我・故障・病気は、大事に至っては後の祭りです。
悔いを残す前に対策を。
⇒後顧の憂いを断つには過去の精算・後始末が大切です。
後ろ髪を引かれるようなことでは心許ありません。
Kang(1)記
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