アトミクラブ
RUNNER's四字熟語 その27
乾坤一擲(けんこんいってき)

 ちょっと、ややこしいですか?
「ケン」(漢音)を用いる。 易では陰陽の爻(こう)を組み合わせて、乾(けん)・兌(だ)・離(り)・震(しん)・巽(そん)・坎(かん)・艮(ごん)・坤(こん)の八卦を構成し、 自然・人事百般の現象を象徴するとされる。
算木(さんぎ)には、八卦の一番「乾」は三本の陽爻のみで卦の形が表され、純粋な「陽」、天・日・男・帝王などを象徴する。
八卦の八番「坤」は三本の陰爻のみで表され、純粋な「陰」、地・月・女・皇妃などを象徴する。
乾と坤は、対極にある存在としての位置付けが通常である。
方位の場合は、「乾」は「いぬゐ」(西北)、「坤」は「ひつじさる」(南西)を指すが、東西、南北といった対極はなしていない。
「一擲」は全てを一度に投げ打つこと。「擲」の訓は「なげうつ」。「乾坤一擲」で、運命・生死を賭けて一か八かの勝負に出ること。
成句としては「一擲(いってき)乾坤(けんこん)を賭(と)す」と用いる。 「乾を旋(めぐ)らし坤を転ず」は天地を回転させる意から、国家の体勢を一新する意、また乱れた天下を治め平和に戻す意。

 さて、ランナーのあなた、
アトミクラブでは全国OB・OG駅伝、東日本国際駅伝、奥むさし駅伝などのレースに多くのチームを送り込んでいます。 タスキを繋ぐレースの特性として、練習状況やその日の体調など、個人的都合を云々していられない状況がしばしば生じます。 意地でも抜かれるわけにはいかない、前を抜いて順位を上げよう、 10秒、5秒、1秒でも次走者に繋ぎたいといった気持ちから、 自らの限界を超えたペースで走らざるを得なくなった場合、 乾坤一擲の気合いが必要になります。
限界ぎりぎり気力だけで中継地点まで走って来て、タスキを渡した途端に倒れ込み荒く息をする光景などは、 正に乾坤一擲の勝負の果てを思わせます。
乾坤一擲の勝負は、比較的短い時間、短い距離に合っているように感じます。 マラソンやウルトラマラソンでは、その距離の長さにおいても、その時間の長さにおいても、 一か八かの気負いはDNFに繋がるだけで、荒仕事には向いていません。
日常的な鍛錬があっても、100mで1秒、1000mで10秒オーバーペースになれば足が止まるか潰れるかの競技です。 あり得るのは、40kmを過ぎてから、95kmを過ぎてから、イーブンペースで乗り切ってきたご褒美に、 時計とにらめっこしながらペースアップする時に「乾坤一擲!」とラスト勝負で叫ぶ程度でしょうか。
その頃は、のるかそるかの勝負に出るよりも、走りきることの方が重要課題になっています。


自分の運命を賭けるような大仕事。一か八かの大勝負。のるかそるかの決断。
⇒死を賭した決断と実行を賞賛する意味合い以外に、荒仕事や無謀な取り組みに喩える場合もある。
Kang(1)記

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