アトミクラブ
RUNNER's四字熟語  その24
以和為貴(わをもってとうとしとなす)

 ちょっと、ややこしいですか?
四字熟語だが「イワイキ」と読むことはない。
「和を以て(わをもつて)貴しと為す(たふとしとなす)」(わをもってとうとしとなす)と訓むのみ。
「和」の訓は「なごむ」「やわらぐ」「なごやか」。
おだやかなこと。お互いに仲良くすること。争いが圓(まる)く収まること。
「貴」の訓は「とうとい」「たっとい」「とうとぶ」「たっとぶ」。
貴重であること。大切であること。優れていること。
「以為」の訓は「おもう」「おもえらく」。
思うことに、考えるにの意を持つ熟語。
「以A為B」の形で「Aを以てBと為す」と読み、「AをBと思う」「AについてBであると考える」「AをBとみなす」の意味を表す。

 さて、ランナーのあなた、
いつの時代でも、どんな社会でも、人が作る世の中で重要なことは人の「和」です。
個々に立場も生活も利害も異なる人々が構成する社会です。
一人ひとりに考えや事情や打算があります。一人ひとりの性格や感情もあります。
人が増えれば増えるほど、お互いの理解が必要とされます。 社会でしか生きられない動物が人間です。
人の社会のことを「人間」と書いて「じんかん」と呼ぶのはとても示唆に富んだことですが、そこに争いや不快を持ち込まないように、相互理解を深め、個々にも自制をしていきたいものです。
 言いたいことを我慢するのが「和」ではありません。
嫌なことを我慢させるのも「和」ではありません。
相手を攻撃して我意を通すのでは不和を招くだけです。考えが及ばなければ混乱を招くだけです。
「和」を保つために、個としての心得は、自らの趣味・嗜好・言動が他の不快を誘い顰蹙(ひんしゅく)を買うなら、自ら気付いて抑制すること、これが基本中の基本です。
人と人との思いやりが、交わり、加わった結果として初めて「和」が生じます。
 ちょっと重い文になってしまいました。でも、市民ランナーのクラブとして大きくなったアトミクラブだからこそ、メンバーの一人ひとりが「以和為貴」を重く認識していく必要があるのです。
 「以和為貴」は、聖徳太子が制定したとされる日本最初の成文法「十七条憲法」の冒頭に記されている言葉です。 天皇を中心とする中央集権国家を実現しようとして、儒家や法家の思想と仏教の影響を受けて作られたとされますが、 聖徳太子が「和を貴いと考える」「人の和を貴いことだと思う」に至った社会的必然性や太子の思い・真情はどのようなものだったのでしょうか。
 物部守屋と蘇我馬子の対立が深刻となった六世紀末、敏達天皇没後、用明天皇・崇峻天皇を経て推古天皇即位に至る八年間はまさに争乱の年月でした。 崇峻天皇暗殺事件後、竹田皇子(豊御食炊屋皇女の子)と厩戸皇子(穴穂部間人皇女の子)で皇位継承の調整が付かず、炊屋皇女が推古天皇として立って初の女帝となった経緯、 推古天皇の後継として厩戸皇子が立太子(聖徳太子は諡号)して摂政となる展開、さらには天皇家と蘇我氏の主導権争い等々、数多の豪族を巻き込んでの政争が続く時代でした。
「十七条憲法」が制定された頃の政治的環境では、「以和為貴」の徹底が喫緊の課題であったと観るのが妥当でしょう。


和を貴いと考える。人の和を貴いことだと思う。
仲良くすることは貴いと思う。
⇒和を保つことは貴重なことである。仲直りすることは大切なことだ。
Kang(1)記

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