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RUNNER's四字熟語 その19 臨機応変(りんきおうへん) |
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ちょっと、ややこしいですか?
訓読は「機に臨みて変に応ず」。
撥音便なら「機に臨んで変に応ず」。
「臨機」はその時や場所や場合に臨んで、適切な対策を講じ、手段を施すこと。
「応変」はその場の変化に応じて適当な措置を講ずること。
元々二字の熟語としてそれぞれに用いられたが、結び付いて四字の熟語としても定着した。
「応変而無窮(変に応じて窮まること無し)」「臨機制変(機に臨んで変を制す)」の用例もある。
「機」も「変」も名詞で「機会」「変化」の意。
半可通だと「応に変ずべし(まさにへんずべし)」と訓読しかねないが、「変」はここでは動詞としての働きを持たない。
「まさに〜べし」と再読するのは、「応有変(応に変有るべし)」〈きっと変化が有るのだろう〉など「応」を推量の助辞として扱う場合である。
さて、ランナーのあなた、
マラソンは、正に臨機応変の連続ですね。
暑さ寒さや、風や雨や、路面の硬軟や凸凹や、坂の上り下りや、並走するランナーとの間合いや、自分の足取りや息づかいなど、
身の回りすべての状況と変化に応じて自分の走りを作り上げていくのがマラソンです。
一人の競技者が長い時間ずっと自分と向き合い、細心の気配りをしながら、自らの限界を究めていく、
これほど臨機と応変が問われるスポーツも珍しいと思います。
5,000mのTTでも、3,000mからの1kmは心拍も上がり、呼吸も荒くなり、
脚が張り足の運びが辛くなって来ます。
メンタルで負けないだけの臨機応変の駆け引きが必要になります。
「前に出るのか後ろに付くのか競り合うのか」、「相手との勝負しか眼中にない」というランナー同士のせめぎ合いだけでなく、
最終的には自分の心の葛藤をどう処理するのか、萎えようとする自分の心をどう奮い立たせるのかの駆け引きです。
マラソンは、天分や素質、体力や感性、スピードだけで済むスポーツではありません。
速きも遅きも、長距離ランナーがお互いを認め合うことが出来るのは、マラソンは練習努力無しに完走出来ないことを知っているからです。
一人ひとりが実行している限界に迫ろうとする努力が分かるからです。
速くなくても懸命に走り続けている人は大勢います。
努力無しに自らの限界は超えられません。
自らが努力しているから人の努力も分かります。
今を磨こうとする者同士だから見えてくる魅力が、仲間を増やします。
自ら努力することで人の努力が見えるようになるなら、それは素晴らしいことです。
ランナーなら速く走るに越したことはないのですが、
タイムありき・勝負ありきという自分の決めつけを他のランナーにまで押し付けるのは、情けなくも永続きしない発想です。
貧乏ながら誠実に懸命に生きている人々はいっぱいいます。
金持ちが良くて貧乏人は悪いなんて決めつけられるものではありません。
学校だって勉強ができない子がダメな子ではありません。
勉強ができたって悪い奴らはいっぱいいます。
人に勝つ喜びと、己に克つ悦び、どちらが幸いなのでしょう。
一歩一歩の運びも、日々の人間関係も臨機応変ですね。
時や場所や場合に臨み、その変化に応じて適切な対策を講じ、対処し、手段を施すこと。
臨機と応変により的確な対処をしていくこと。
⇒状況によって適当に計らうこと。局面局面によって適切に対処すること。
Kang(1)記
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