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RUNNER's四字熟語 その10
大器晩成(たいきばんせい)

 ちょっと、ややこしいですか?
「大器」は、重要なもののたとえ、邦国や君主天子のたとえ、優れた素質・才能・度量などのたとえとして用いられる。
時に「天」をたとえる。
「大器晩成」の訓読は「大器は晩成す」。
出典は『老子』第四十一。逆説表現の多い一文の中に登場する熟語。
器を作るとき、 小さな器ならすぐに出来上がるが、大きく立派な器物はすぐには出来上がらないものであるの意。
人に転ずると、将来大人物になるような人は早くに大成することなく凡々としており、人に遅れて漸く光彩を放つようになるの意。

 さて、ランナーのあなた、
実業団で競技ランナーとして活躍しているような選手は別として、「大器晩成」は市民ランナーの我々のためにあるような四字熟語です。 マラソンへの適応性は一朝一夕に獲得されるものではありません。 ちょっと人より足が速いと言うだけのランナーでは小器に終わってしまいます。 目立つようなタイムは出していなくても、コツコツ走り込んで息長い練習をしている人の中に、ランナーとしての大器は潜んでいるのではないでしょうか。
とかく世間では早成と勝敗と記録ばかりがもて囃されがちですが、市民ランナーの目指すところは他にあるように思われます。 東京マラソン効果で去年から皇居周りなどを多くのジョガーが走るようになりました。 底辺の拡大は喜ばしいことですが、崩れたフォームのまま速く走っている人を見かけると、いつまで続けられるのかと心配になります。
ランナーとしての身体が備わる前に、なまじスピードに頼って走っていると、故障に結び付き、怪我に悩まされ、思うような走りが出来ない日がやってきます。
 マラソンランナーとしての身体が出来上がるまでには、数年単位の時間がかかります。 筋や腱の強さと柔軟性、毛細血管の発達、速筋遅筋のバランス、高い心肺能力、最大酸素摂取量の増進、筋持久力・スピード持久力の養成などは、 走ることでやっと身に付いてくるものです。 総合的な走力を獲得するために、継続的練習を侮ることは出来ません。
 マラソンは毎日の積み重ねが生きるスポーツです。 ランナーであれば、意識して走りのレディネスを整える必要があります。 マラソンを走るための心身の準備が整っているかどうか、マラソンを走り抜く適合と成熟の状態はどうかなど、 自らの一挙手一投足を分析し意識しつつ走ることで走力の伸長も練習の効果も異なってきます。 一定のペースで押して行かれるようになるには体幹がしっかりしていなければなりません。 腹筋の力は、腿上げに結び付き、胃の働きに関わっています。 それもこれも意識して捉えられるようにしていきましょう。 昨日の自分の走りと比べて今日はどうなのか、明日の走りを考えて今日の練習を位置づけているかどうかが肝要です。 大器としての晩成を信じて共に走りましょう。


器量が優れている人は往々にして人より遅れて大成すること。
⇒小さな器と違って、大きく立派な器は容易に出来上がるものではない。
⇒器の大きい人は早くから頭角を現すことはないが、人に遅れて大成するものであるとの譬え。

Kang(1)記

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