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RUNNER's四字熟語 その1
捲土重来(けんどちょうらい・けんどじゅうらい)

 ちょっと、ややこしいですか?
「重」は、中国では今でも「おもい」の意味なら「zhong(4)」、「かさねる・かさなる」の意味なら「chong(2)」と発音上の使い分けがあります。日本では「ジュウ」(呉音)と「チョウ」(漢音)として定着しますが、  厳密に、「チョウ」は「軽」の対義で「おもい」場合、「ジュウ」は「かさねる・かさなる」場合とまでは徹底されませんでした。捲土重来の場合「再度」の意味ですから、理屈では「けんどじゅうらい」が正しいことになります。しかし平安時代以後、漢音を正音としたため「けんどちょうらい」を正しいとする辞書も多く存在します。今となっては、どちらかの読みに統一することは至難です。
かつて、松坂大輔が「リベンジ」を口にして新鮮でした。「雪辱を果たす」ならまだしも、「捲土重来を期す」と言ったら、あまり耳に馴染まなかったかもしれません。

 さて、ランナーのあなた、
勝つつもりで出たレースで、思いがけず普段の練習仲間に負けてしまいました。
あなたならどう感じますか?
@勝負は時の運だと諦める。
A疲れがたまっていたからと自分を慰める。
B悔しくて次のレースこそは負けるものかと雪辱を誓う。
敗北の羞恥を心に秘め、以後、必死になってトレーニングを重ね、自らの弱点を克服し走力を蓄えて、やがて、巡り来たレースで再び競い合って練習の成果を発揮し、雪辱を果たす。
これなら「捲土重来」です。
Bの気持ちを忘れずに続けた努力こそが宝です。
Iさんは、東京荒川でサブスリー達成を喜んだのもつかの間、記録は3:00:00でした。 1年後の同大会でサブスリーを実現させましたが、その間、高尾での陣馬往復を自らの練習メニューに組み込み、 脚力と持久力を養ったそうです。競った相手は自分でした。
@は淡泊ですが、勝敗以前の問題です。
Aは言い訳・負け惜しみの類。でも、ふと口にしてしまいますね。


杜牧(晩唐の詩人)の七言絶句「題烏江亭(烏江亭に題す)」に出る語。
勝敗は 兵家も 事 期せず  羞を包み 恥を忍ぶは 是れ男児 江東の子弟 才俊多し 土を捲き重ねて来たる 未だ知るべからず
⇒土煙を巻き起こすような激しい勢いで、一度敗れた者が再び攻め返してくること。
⇒一度失敗した者が、再び勢力を盛り返して攻め寄せること。

Kang(1)記

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