アトミクラブ
ウォーキングのススメ
梨本忠三(1984年入会)

 ここ数年早朝の公園や川沿いを散歩する人が多く見受けられようになりました。なかには、ランニングのように肘を曲げ早歩きをする人も良く見かけます。ウォーキングは継続する意思さえあれば、長く続けられる健康維持方法です。
 アトミの皆様は自己の記録更新や、記録維持の為に日々トレーニング(ランニング)に励んでおられることと思います。
 その中で故障や疲労から走れなくなることもあります。故障後のリハビリや疲労回復の手段の一つとしてウォーキングをお勧めします。

<故障後のリハビリとしてのウォーキング>
 故障箇所と故障の状態にもよりますが、走ると痛みが出るが、歩くと痛みが感じられない場合があります。そんな時には、まず歩くことからリハビリを始められると良いと思います。 ただし、膝から下の場合は、歩くことによって状態が悪化することがありますので、かかりつけの整形外科や治療院に相談の上、始めてください。ランニングに比べてウォーキングは、着地時の衝撃が低いのでリハビリの初期段階では有効と思います。 定年間際の時に左大腿部に肉離れを発症しました。よく治りきらないうちに走り始めたのが悪かったのか今度は左膝を痛めてしまいました。階段の昇り降りの時に強い痛みがあり、自宅近くの整形外科で理学療法士の指導により、リハビリを始めました。ボールやチューブを使ったリハビリメニューの中で一番効果があったのが超スロースクワットでした。10秒かけて腰を落とし、10秒かけて立ち上がる。膝の周りに筋肉をつけることが良かったようです。通常歩行で痛みが無くなってから、リハビリメニューと並行してウォーキングを始めました。階段の昇り降りで痛みが出なくなるまで続け、ようやくスロージョッグができるようになるまで1年半近くかかりました。

<疲労回復としてのウォーキング
 スロージョッグにより、回復を図られる人もあると思いますが、ウォーキングも疲労回復手段の一つです。私の場合は、レースやインターバル練習の翌日は、ウォーキングによって疲労回復を図っています。ウォーキングをすると決めた日は、ほとんど走りません。疲れが大きいときは早く歩けません。そんな時は散歩より少し速いくらいで歩きます。普段の練習もいきなり走りません。2キロ位歩いてからスロージョッグから走りはじめます。織田フィールドでの練習もアウトコースを3〜5周してからスロージョッグに入ります。 ウォーキングの翌日は、疲労感が少ない状態で走ることができます。

<ウォーキングのポイント>
 私は20代半ばまで20キロ競歩と50キロ競歩をやっていました。20キロ競歩は年に数回レースがあったのですが、50キロは年1回でした。もう何十年も前の事になりますが、青梅市で行われた日本選手権50キロ競歩では5位に入賞しています。青梅市役所前をスタート・ゴールとする、御岳経由青梅梅林折り返しのアップダウンの厳しいコースに途中棄権者が何人か出ました。ちなみに私の50キロ競歩のベストタイムは、その時に出した4時間59分です。 つい先日ドーハで行われ世界陸上競技選手権(2019年10月)では酷暑の中を20キロ、50キロとも金メダルを獲得しました。オリンピックでの活躍が楽しみです。最近、競歩に関心を持つ陸上ファンが増えていることをたいへん嬉しく思います。 今でこそ日本の競歩は世界のトップレベルに達していますが、私がやっていた頃は、記録は低く競技人口も少なく、マイナースポーツの代表のような存在でした。世界のトップレベルの選手のフォームを横から見るとY字で美しく、フルで3時間そこそこのスピードがあります。 競歩は速く歩くことを極めた競技ですが、競歩のフォームをそのまま適用しなくても走力強化に役立つ面が何点かあります。

@一直線上を歩く
速く歩くためには一直線上を歩く必要があります。体幹が強くないとうまく一直線上を歩くことはできません。

A腰の横ブレを少なく歩
競歩はアヒルのように腰を振って歩くイメージがありますが、一流選手ほど横ブレは少なく前後の動きが大きくなっています。体幹が強くないとできない歩き方です。

B背伸びをするイメージで歩く
背伸びをしてそのまま足を前に出す。歩行中は背伸びを続けるイメージで歩く。このイメージで長時間歩き続けるにはある程度の腹筋が必要になります。腹を引込めるようにすると体幹強化のトレーニングにもなります。

 私自身は、加齢とともに歩きも走りも思うようできなくなってきていますが、もし走れなくなってもウォーキングだけは続けたいと思っています。
 少し長くなってしまいましたが、故障回復や走力強化の参考にしていただければ幸いです。


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